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相続した土地が売れない?困った時に使える処分方法を専門家が解説

相続した土地が売れない?困った時に使える処分方法を専門家が解説

相続では、現金や有価証券といった資産だけでなく土地を相続することもあります。もし土地に資産価値がある場合は、相続人同士で分配する場合も話し合いで解決しやすいですが、資産価値がない場合は、相続人同士で押し付け合いに発展したりとトラブルになりがちです。

不要な土地は、相続することで税金や維持管理義務が発生するため、出来るだけ早く処分したいところですが、売却もできず対処に困っている方も多いのではないでしょうか。

本稿では、そんな方のために相続に売れない土地が含まれていた場合の処分方法や注意点を専門家目線で解説致します。


不要な土地の処分方法として相続放棄はあり?なし?

要らない土地が相続財産に含まれる場合に、考えられる手段のひとつが相続放棄です。ただし、相続放棄は不要な土地を手放すと同時に、株や現預金といったその他の資産も手放す必要があるため、他に相続すべき資産がある場合は、慎重に検討したい選択肢となります。

相続放棄は、相続を知った日から3か月以内に行う必要があるため、もし相続財産に土地が含まれる場合は、早期に相続財産や不動産の価値を整理し、相続放棄をした場合としない場合でどちらがより多く資産を残せるのかを検討するようにしましょう。

相続登記の義務化で放置はできなくなった

最近は特に相続で手にした土地に関する相談が増えています。その原因の一つとして2024年より施行された相続登記義務化が関係しています。相続登記義務化により、相続人は、不動産の相続を知った日から3年以内に登記を行わなくてはならず、違反した場合は10万円以下の過料が科せられるようになりました。

そのため、これまでのように土地の責任から逃れたいからとあえて相続登記をしないという選択はできなくなりました。そもそも、相続登記の義務化が推進された背景には、相続登記が正確にされないことが原因で、所有者不明土地が多数発生することになったという経緯があります。

今後は相続登記をせずに放置するといった行為に対して、より厳しい規制がかけられる可能性も考えられます。

相続したら要注意な土地の特徴とは?売れない土地にありがちなこと

相続した財産に土地が含まれる場合は、土地が売れるかどうかを素早く判断することが重要です。土地の資産価値によって、相続への対処法が大きく異なってくるためです。しかし、普段から不動産取引をしない相続人にとっては、土地の資産価値を判断することは簡単ではありません。

ここでは、特に相続で売れない土地にありがちな特徴を紹介します。下記にあげるような特徴を持った土地を相続した場合は、土地が売れないかもしれない可能性を考えた方がいいでしょう。

・長期間(3年以上)放置されている

・相続されるまで活用されていなかった土地

・管理費だけを払い続けている別荘地

・接道していない、形が悪いなど条件が悪い土地

・境界がはっきりしていない土地

上記のような特徴を持った土地の場合は、不動産会社に依頼しても買い手がみつからず、場合によっては処分に費用がかかってしまう可能性もあります。もしそうなった場合は、不動産取引に詳しい方へ相談することをお勧めします。

土地の放置は危険?損害賠償を請求されることも・・・

処分も売却も出来ない土地は、活用もできず放置されてしまうこともあります。また相続人同士で話がまとまらず、意図せず放置されてしまうということもあるでしょう。

しかし、土地を放置することは、相続登記義務化の罰則に違反する可能性があることはもちろんですが、その他にも様々なリスクが発生する可能性があります。

金銭的なリスク

不動産は、所有するだけでも金銭面で大きなリスクを抱えることになります。土地の収益に関わらず、毎年固定資産税の支払い義務は発生します。また、別荘地やマンションであれば、管理費を支払う必要があります。

その他、維持管理にもお金と時間をかける必要があります。土地の整備を怠ると、庭木が隣地に侵入したり、建物が倒壊して損害賠償を請求される可能性があります。

周辺住民とのトラブルが発生するリスク

土地の放置は、周辺住民とのトラブルを引き起こす可能性があります。たとえば、長年の放置により境界杭等が破損し境界が不明瞭になる、土地の管理不備により獣害や自然災害発生の原因となり、周囲の住民へ迷惑をかけてしまうなど、土地の管理を怠ることは、周辺住民との軋轢を生むきっかけになってしまうことが考えられます。

犯罪に巻き込まれるリスク

土地を放置すると、最悪の場合犯罪に巻き込まれてしまう可能性もあります。周囲から管理されてないとみなされた土地は、不法投棄の標的にされてしまう場合があります。また、犯罪の拠点に利用されてしまったり、空き家が建っている場合は空き巣に入られるなど、犯罪の温床になってしまうリスクが高まります。

売れない土地でも処分できる方法とは

売却もできず、活用もできない土地は一刻も早く手放したいものです。しかし、資産価値がない土地は引き受け手にとっては負担にしかならないため、処分をするにも簡単にはいきません。

そこでここでは、売れない土地であっても処分できるおすすめの方法を紹介します。

相続土地国庫帰属制度

相続した土地におすすめなのが相続土地国庫帰属制度です。相続土地国庫帰属制度は、相続または遺贈によって手にした土地を国に有償で引き取ってもらうことが出来る制度です。制度の開始は、2023年となりますが、それ以前に相続した土地であっても使うことが可能です。

相続土地国庫帰属制度を使えば、相続放棄をすることなく不要な土地のみを手放すことができます。ただし、制度を適用できる土地には条件があり、利用にあたって費用が発生します。もし利用したい場合は、まず最寄りの法務局に相談してみましょう。

近隣住民へ譲渡する

近隣住民へ不要な土地を譲渡するという方法もあります。通常の不動産取引では売れない土地であっても、近隣住民にとっては、土地がまとまることで自分の土地の価値が上昇するメリットがあるため受け入れてもらえる可能性が高いです。

もし日頃から近所の住民と付き合いがあるという場合は、積極的に提案してみましょう。連絡先がわからない場合は、法務局から登記謄本を取得して連絡する方法もあります。

自治体に寄付

自治体によっては、土地の寄付を受け付けている場合があります。もし自治体が寄付を受け付けている場合は、引き受けてもらうことで土地所有の負担から無償で解放されるため、利用していきたいところです。

ただし、自治体に寄付した土地はその後自治体によって管理されることになるため、公共地として活用が可能な土地でなければ受け付けてもらえません。また寄付を受け付けている自治体も限られているため、もし気になった場合は、最寄りの役所等にまず相談にいってみるといいでしょう。

専門の引き取り業者を利用

通常の不動産取引では処分が難しい土地を手放したい場合に使えるのが、土地や不動産の引き取りを専門にしている不動産業者を利用することです。

専門の引き取り業者は、引き取りの条件が緩く、通常の不動産取引や国庫帰属制度など、他の方法では処分できなかった土地であっても引き取ってくれる可能性があります。

ただし、引き取り業者の中には詐欺まがいの業者や原野商法といった投資に誘導してくる業者も存在するため、依頼する際は本当に信頼できる業者かどうかをよく調べた上で行うようにしましょう。

マッチングサービス

売れない不動産の処分には、マッチングサービスの利用もおすすめです。マッチングサービスは、不動産を買いたい人と売りたい人を繋いでくれるプラットフォームです。マッチングサービスの特徴は、全国どこからでも、自分の好きな価格で土地を売却出来る点です。

マッチングサービスは、土地の売買に関心が高い方が集まっており、成約率が高いという特徴があるため、他の方法では処分出来なかった土地であっても、買い手を見つけられる可能性があります。

いらない土地を処分したい時におすすめのマッチングサービスはこちら

まとめ

売れない土地を相続することは相続人にとって大きな負担となります。本記事の情報を対処に役立てていただければ幸いです。また、もしどうしても解決が難しい場合は、専門家に相談してみましょう。不動産取引を有利に進めるには、様々な知識やノウハウが必要です。専門家の知識や経験を頼りにすることで、より最適な選択が見つかることでしょう。

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    この記事の執筆者
    田口絵美子司法書士・行政書士事務所 代表 司法書士 田口 絵美子
    保有資格 ・司法書士
    ・行政書士
    ・民事信託士
    専門分野 相続、遺言、登記(不動産、商業)手続き全般。
    特に、生前の認知症・財産承継対策から相続発生後のお手続きまで、一連のサポートを行うこと。
    経歴 平成18年 慶應義塾大学商学部卒業。
    平成23年 司法書士試験、行政書士試験に合格。
    平成24年 都内司法書士法人にて不動産登記、商業登記に従事。
    平成26年 田口絵美子司法書士事務所を戸越銀座駅にて開業。

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